本牧ポートハイツの敷地の中央を貨物線が縦断する。住宅地に貨物線が走るのはいかにも港湾といった風景である。敷地の周りを走る道路はものすごいスピードでトレーラーが走っているが、のんびりと敷地の中央を縦断する貨物列車はのどかで対称的である。
敷地のくびれ部分から西を見た時の、川と高速のランプ風景。右は、同時刻に東を向いて撮った写真。
市民が集まる風景が広がる蒔田公園。人が集まる理由を考えてみる。周辺に広域避難施設が多く集まっていることからも分かるように、このあたりは、横浜で人口密度が平均と比べて二倍高く、最も高密度の地区。また、公園を取り囲む街区が全て一方通行とあって、車があまり入ってこれないため、身近な存在にある。パリなどにある街区の真ん中の中庭のようでもある。
市街地化しているかつての干拓地は、戦後東(海)側半分を接収され、残りの中で急速に発展した。その結果、商工住問わず、混在した状態が今でも垣間見える。ディベロッパーによる開発や、一旦停止したvoidという現代的な状況も混ざり、まさに混沌としている。開発は、伊勢佐木商店街を中心に行われ、大通り公園の際は、ほとんど中層マンションによって壁になっている。その谷間から見える風景。木密街と一旦停止voidを見る。
関外(大通り公園の北側)の地区は、海から内陸(西)に向かう方向へ商店街が延びている。一方、大通り公園を挟んで南側は、東西に延びる大通り公園から接続して南側に延びる。
このよこはまばし商店街が大通り公園に接続する商店街で一番栄えている。
南太田駅前
市街地は、谷戸に囲まれており、かつては海だった。そこが300年前に干拓され、干拓地はグリッド状に道と運河を走らせていたが、谷戸とぶつかった途端にグリッドが崩れる。交通インフラ(京急鉄道)は、谷戸沿いに走っていて、ここ南太田駅前には未だに幅一メートル程の抜け道を多くの人が行き交いしている。
モールと公園の位置関係
伊勢佐木モール付近は、関内に対して、関外と呼ばれていた。どちらも昔からの繁華街です。それに対し、大通り公園は、300年前の干拓時は、川として整備され、戦後、公園として整備された。もともと、干拓地の根幹をなす川として整備されたため、現在の市街地の背骨のような位置に、たまたまある。現在は、大通り公園が、商業的にぎわっている伊勢佐木モールの背面的なヒエラルキーを抱えてしまっている。ただ、言い換えれば、喧騒を逃れられる市民のための場所として存在できるポテンシャルはある気がする。
デルタの中央から見えた風景
コンテナトレーラーにしてもこのクレーンにしても非日常的なスケールである。だからなんか興奮するし、港のダイナミックさがでている。空港で飛行機を見る時の感覚と似ているかも。大桟橋にクイーンエリザベス号が泊まっているのを見た時は鳥肌がたった。空港と違い、海の港は日常スケールと非日常スケールがすぐそこで交錯している。大桟橋と飯田さん設計のシーバスの赤煉瓦倉庫前の駅が隣り合っているといった、非日常と日常のスケールの対比もすごくおもしろい。
本牧ふ頭の付け根の敷地である。港湾労働者住宅のど真ん中を貨物の線路が走っている。三角形の敷地で3辺はそれぞれ違ったエッジに面している。港湾、住宅地、工業地。しかし交通インフラで囲まれているため、孤島状態である。貨物はベルトコンベアーのように交通インフラの上を自動運転で絶えず流れている。人は全く流れていない。横浜港の中心である本牧埠頭の最前線に位置する敷地なのだから積極的に投資をできる場所のような気がする。
データを収集する際、自ら主体性を持って情報を選別するという理想にはほど遠く、手探りで自らの勘に頼らなければならない。情報は手にいれよう思えばいくらでも量は増える、また、それだけ情報の選別をする作業をこなさなければいけない。昨年のデータ収集のアーカイブを見たが、何もストーリーを持たず、個々が浮遊しているような状態で、何も頭に入ってこない。何を蓄積し、利用し、批評しようとしたのか跡形も片鱗も感じられない。ただ、形を整えるという行為すら乗り越えられない状況が意味する恐怖感だけが読後感として残った。個人的な意見だが、情報は自ら捻出することによって、その情報が持つ賞味期限や意味を持ち得るのではないかと思う。それは、足を運ぶことだと思う。確かに足を運ぶきっかけにづくりにはブラウザを利用しない手はない。
写真は、公団並木一丁目団地(金沢シーサイドタウン並木一丁目団地 槇文彦設計)の中にある東急スト駐車タワーより、奥に三菱重工、下水処理場。その手前に新都市交通とパラレルに続く斜面の緑道。足下が、広大な駐車場。スプロールの象徴的な風景とも言えるのでは。
団地の切れ目の北の方に槇文彦設計の市立並木第一小学校、南にALCOM設計の第2小学校がある。
昨日の現地調査は雨の中ざっと中心から八景島まで移動してみた。横浜の街は海岸線に平行に地層のように重なり合っている感じがした。隣り合う地層同士はあまり干渉しあっていない。その境界線で何かがせめぎあっている感じもない。何か予定調和的におとなしく釣り合いを保っている。その境界は首都高速であったり、港の変遷によるものであったりする。まだ港の方へ向かって同じような方向で地層は堆積されている。しゅう曲したり地殻変動していたりしているところはないかな。くさびが入っているところとか。せめぎあわせる仕掛けを作ることはできないかと考えている。
都市的な大きな視点と現地調査からみえてくる発見をする。
横浜市のホームページは結構親切に詳しくデータなどものっていますね。