修了展@旧坂本小学校

坂本小学校は芸大の砦となったのか?この前も展示に使ってたな。なぜ小学校か?。話を聞いてみると、個室を作りやすいからと。なるほどね。芸大は、ずっと都美館でやっている流れがあり、新しく設置された先端芸術表現科は、立場を明確にするためにいろんなところで展示を行っている。教員も異常に豪華だし、学生もバックグラウンドの異なる人が集まりやすい環境にあるので、外からの期待も多いのだろうか。むちゃくちゃ人がいた。修士一期生の展示が行われている。ちなみに、先端とは、ちから入りまくりのサイバー集団や、チャネラーとかの集まりではない。かれらのフレーズを借りると不安定なエッジに立つ表現者らしい。構築系から、アカデミック系、身体系、とにかくどんどん突き進む感じの人が多い感じはする。今日、見に行ったのは、先端フォーラムファイナルとか言う怪しい会があったのと、渡辺哲夫さんが展示を出しているのもあって、行ってみた。無料で、川俣正×桂英史×渡辺好明の話が聞けるところに、先端のうつわのでかさを感じる(笑)。行ってみるとびっくりで修士一年の授業だった。藤幡正樹の作ったダイアグラムを渡され、ほーっと思ってしまった。先端は、岡本太郎とナムジュンパイクの幅の中に立つらしい(笑)。まぁそこに厳密な意味はないが、憶測をかき立てられることは多く思いつく。誤解を生むといけないので、どういうフォーマットの授業かと言うと、通年の半分が講義で、トップバッターの川俣正が、岡本太郎とナムジュンパイクのキーワードを出したのに始まり、それを受け、桂さんが呪術や呪力の話をし、さらにそれを受けて伊藤俊治がピットリバース民族博物館やパトリシア・ルイモン、パリ植民博覧会の話をしていくのだが、次に行った木幡和枝さんが南方熊楠の話をしてコンテクストを乱し(笑)と、いった具合に講義の中で出てきたキーワードをエスノとテクノの軸を設定し、ダイアグラム化したものを手渡されたのだ。多くの事を知るという、おいしさもあるが、後期に行ったダイアグラムにしていく作業で、恣意的な視点を見いだし、自分の立ち位置を確認するような目的の上に立つ授業らしい。(聞いてて思ったのは、表現をこれからしようという時に、自分の立ち位置を確認してたら、それがフレームになってしまう。というパラドクスを楽しんでいるような気がした。論文を書くときに研究史を確認するようなものだろう)。エスノとテクノの軸に自分の軸(人文科学と自然科学といった具合に)を持ち出し、再構築し、自分のダイアグラムを作るという授業。川俣さんの構想では、それらを透明なものに印刷し、重ねると面白い発見があるんじゃないのかね。と言ってました。とにかくむちゃくちゃ、うんちくが多く、笑いをこらえるのが大変だった。最後に、今年で先端をやめる(先端だけに講師の再構築も激しい)川俣さんが、桂さんに遺言を残せ。と迫られ、おもしろい事を言っていた。「自分が出て行くより、周りがひいちゃうまで自分を持って行くのは大変なこと」「今の芸術は街(町?)みたいだ(群れになって仲良しこよし的でおもしろくないと言いたいらしい)」「40代くらいにこんなやついたの?くらい、じっとりやっている奴の方が強い」だ。そうだ。加えて、桂さんは先端のコアメンバーなので、結構教育的なコメントが多く、メモが走る。「方法論 スキル 自分のテーマ」があって、プロジェクトがうまいものになると。展示は、人が多いのもあり、ちゃんと見てないが、プロセスが分かると、もっとおもしろさが伝わるんじゃないの。と思う作品があったり。ね、なべおさん(笑)。先端を知りたい人は、岩波書店から出ている先端芸術宣言!を読めば、多少分かると思う。今日の話の中で、入学する前は、あの本である程度、自分の中のコンセンサスを得られたと思っていたが、一年たって崩れ去ったという話があった。先端はそんな感じ。

□参照
新建築 2003|06 連載 研究室レポート case21
東京芸術大学美術学部 先端芸術表現科/先端って何?

□登場する人達が関係する本
人間交際術 コミュニティ・デザインのための情報学入門 平凡社新書 桂 英史
アートとコンピューター新しい美術の射程 慶応義塾大学出版会 藤幡 正樹
良心の境界 NTT出版 スーザン サンダク 木幡和枝 訳


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尾縄さんより、作品展示のご案内。

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東京電力・TEPCO銀座館にて下記企画展に参加し、
作品展示をしております。
お近くにお越しの際は、是非お立ち寄りください。

尾縄愛佳が、先端二期生卒業の岩田草平と共に参加しています。

暮らしのラボ第18回企画展
[ ハートフル エコライフ ]
〜「おさいふ」「地球」「ココロ」に優しい暮らし〜

期間:1月20日(木)〜2月15日(火)
開館時間:10:30〜18:30
休館日:水曜日
入館料:無料
場所:〒104-0061 東京都中央区銀座6-11-1
   TEPCO銀座館 1Fエントランス
   tel.03-3575-0456 fax.03-3575-0434
交通:東京メトロ銀座駅A3出口より徒歩3分
   JR有楽町駅より徒歩8分
URL:http://www.tepco-ginzakan.com

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「Project the Projectors 04-05 台東」
−−東京藝術大学大学院美術研究科 先端芸術表現専攻 修了作品展
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詳細は→http://www.ptp0405taito.jp


会期:2005年1月14日(金)〜27日(木) 10:00ー17:00

会場:旧坂本小学校(台東区下谷1ー12ー8) JR鴬谷駅より徒歩6分 東京メト
ロ日比谷線入谷駅より徒歩5分

入場無料

この度、東京芸大大学院先端芸術表現専攻修了生一同は、それぞれの修士課程での成
果を公の場に発表すべく、修了作品展を開催いたします。

本展覧会は、19名の修了生それぞれが「先端」という不安定なエッジに身を
置きつつ、“projector”=投企者として、これからの自分と社会との関係を提
示する試みです。この試みを吟味し、楽しんでいただけることを修了生一同、
心よりお願い申し上げます。
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出品者:
赤松 ネロ
安部 路子
五十嵐 靖晃
池田 孔介
石井 理絵
石川 智弥
石川 直樹
石毛 久喜
大石 真依子
久木元 拓
Komainu
齋藤 愛和
鈴木 啓太
Tyler Russell
田中 詩子
夏目 圭介
仁田 美帆
皆川 知子
渡辺 哲夫
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主催:「Project the Projectors 04-05 台東」実行委員会
共催:台東区教育委員会・東京藝術大学
URL http://www.ptp0405taito.jp
E-mail info@ptp0405taito.jp

趣味, art | at January 24, 2005 0:09


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Comments

>「今の芸術は街みたいだ」
これ、ナルホドですね。
ここ4、5年、学際、脱領域、多中心といった
横断的思考が流行ってますけど、
芸術もそういう傾向にあるのかなぁ。
どんどん細分化していって、
いずれくっついたりするのだろうか。
先端の在り方も、生徒の側は
受け取るのが大変そうですね。

Posted by shiro at January 29, 2005 3:13 PM

受け取るのが大変というのは、少なからず合っていると思いますよ。
当日の公開トークの中でも、M1の方が、「受け取ることで、自分の中で間違いなく混乱をまねいている。」と発言していたのが印象に残っています。
かつ、先生側も混乱していないと言えば嘘になると思います。
一部の方としか会話した事がありませんが、各々にバックグラウンドがあって、純粋な表現を楽しんでやっているので、先端という分野を築きたいわけではないでしょう。
でも、俺はさきっぽに立っている人間なんだと自覚しながらやっているって。見られてもしかたない感じですがね(笑)
ただ、困惑を楽しまなきゃ先端でやる意味みゃぁない。ってなかんじで、楽しそうではありました。
まぁ混乱を招くこと(引き起こすこと)が好きな人にはたまらない環境ですね。僕もそうですが(笑)

Posted by simon at January 29, 2005 9:12 PM

みごとに整理された文章ですね。ぼくもこうしたまとまったモノを書きたいです。すばらしいから、めちゃんこ励みになります。

Posted by 佐橋景介 at January 31, 2005 1:54 AM

いえいえ、これでも、ハイテンポな混沌さを売りにした文章です(笑)
先端の方ですね。
プロフィールを見ると、大学に入る前から、
わんぱくな雰囲気が出ている。
今後のご活躍を楽しみにしています。
僕も負けません(笑)

Posted by simon at February 2, 2005 12:45 AM

あ、(お世辞でも)対抗意識!うれしいです。
リンクありがとうございます。今日明日でこちらからもいたします。
ここを出発点にブログのブックマークやリンクをたどってみましたが、
すさまじい人がたくさんいますね。正直あせります。
(さて、今日はどこに行こうか。14時回ってる…)

Posted by 佐橋景介 at February 8, 2005 2:23 PM